Core Class

コア(必修科目)は、Full-semester course (3単位)、Half-semester course(1.5単位) で構成されています。

 

Full-semester course とは、1 学期を通して受講するコースです。 

Half-semester course とは、1 学期の半分の期間(約 8 週間)で完結するコースです。短期間ですが、幅広い分野に関するエッセンスを効率的に学習することができます。

 

コアは、様々なビジネスシーンにおいて役立つであろう、幅広い基礎知識やスキルを効果的・効率的に学ぶことができるようにデザインされています。

 

もっとも、コアの多くは Exemption Examに合格すれば受講が免除され、その代わりに選択科目をより多く受講することができます。

ただし、コアはクラスターメイトとのネットワーキングの重要な機会でもあるため、コアの免除を得てエレクティブを受講するか、コアを受講してクラスターメイトとの関係構築を図るかについて、ほどよいバランスが必要になります。また、自らが得意なコア科目をあえて履修することで、クラスに貢献したり、英語での授業に慣れるのも一手です。

 

 

Core一覧(括弧内は単位数)

 

Pre-term (オリエンテーションの時期)

Lead: People, Teams, Organizations (1.5)

 

1st term

Full-semester courses

Corporate Finance (3.0)

Accounting I:Financial Accounting(3.0)

 

Half-semester courses

A term

Managerial Statistics(1.5)

Managerial Economics(1.5)

Strategy Formulation(1.5)

 

B term

Business Analytics(1.5)

Global Economic Environment I(1.5)

Marketing(1.5)

 

 

2nd term

A term

Operations Management(1.5)

 

 

 

以下では、コアの授業の内容を在校生が簡単にご紹介します。

 

 

Lead: People, Teams, Organizations

 

人の性格・特質を的確に判断するためのツール、他人の自分に対する印象のコントロール法、意思決定の際に陥り易いワナ、negotiationで活用すべきテクニック、careerの組み立て方などリーダーに必要な様々な側面的能力に関してcase中心に学習します。またリーダーとして成功するために最も必要な能力は自己分析の的確さにあるという信念のもと、他者の自分自身に対する評価(いわゆる360度評価)を参考にしつつ自己分析を進めていき、最後に論文を書き上げます。以前の会社上司・同僚、及びグループワークのチームメートのシビアな評価をもとにし、自分の知られざる一面を認識したり、ビジネススクールと仕事の場で自分の行動、自分に対する印象がどう変化したかなど知ることができ、非常に楽しいコースです。

 

 

Corporate Finance   

 

DCFモデルを通じた企業価値のバリュエーション手法の習得を目的としたレクチャーベースのコースです。前半は、割引現在価値、CAPM、MM理論などの基礎的な分析手法を学習します。後半は、こうした分析手法をケースに適用して、企業のバリュエーション演習を行い、知識の定着を図ります。

コー スにおいてカバーする内容が多岐にわたることもあって、ファイナンスの経験がない生徒はやや難解に感じるようです。しかしながら、このコースを受講すれ ば、投資銀行などが行う企業評価の内容は大筋で理解できるようになると思います。また、バリュエーションを行う際には会計の知識も必要ですので、必修科目であるAccounting とセットで履修することで会計・ファイナンスの基礎がしっかりと身につくのではないでしょうか。

 

 

Accounting I: Financial Accounting 

 

財務会計の基礎を網羅的に学習することを目的としたコースです。内容としては、勘定科目の仕訳、資産・負債、キャッシュフロー計算、財務指標(DuPont Decomposition)、税効果会計などが含まれます。

このほか、複数の企業のバランスシートを手掛かりに、それぞれがどのような産業に属しているかを分析する講義もありました。基本的に講義はレクチャーベースですが、収益認識などテーマ次第でケースディスカッションなども取り入れられています。

 

 

Managerial Statistics

 

ビジネスシーンにおいて頻繁に用いられる基礎的な統計学の習得を目的としたレクチャー形式のコースです。内容としては、正規分布、相関関係、推定・検定、二項分布、確率変数、回帰分析などを取り扱います。また、これらの応用編として、ポートフォリオの期待リターンや分散効果等が取り上げられました。このコー スで学習した内容は、MarketingやOperations Managementなど、他のコースを履修するにあたっても基礎となります。

 

 

Managerial Economics

 

ミクロ経済学のゲーム理論、需要・供給、価格決定、限界利益・費用などをテーマとするレクチャーとディスカッションを織り交ぜたコースです。大学学部レベルで学習するミクロ経済学と異なるのは、このコースが経営者の視点で展開される点だと思います。

すなわち、企業経営者が価格設定を行う際、限界利益・費用等のミクロ経済学理論を現実問題へどのように応用しているかという点に主眼が置かれています。講義では、ケースのほか、ニューヨーク・タイムズやウォールストリート・ジャーナルの記事など幅広いリソースを題材に、企業の価格設定についてディスカッションしました。

 

 

Strategy Formulation

 

企業の競争優位性(Competitive Advantage)とそれに基づいたビジネス戦略をテーマとしたディスカッション主体のコースであり、コアの中でも評判が最も高い授業の1つです。ケースとしては、Walmart、ZARA、Samsung、Appleなどを取り扱いました。

こうした企業を題材として、各企業の競争優位性を活かした経営戦略、競争相手に対処する最適な戦略(competitive dynamics)、事業範囲の適切な取捨選択(corporate scope)等について、活発な議論が交わされます。

企業戦略は様々なファクター(業界特性、環境、タイミング、リソース等)により左右されます。このため、ある企業が過去に取った戦略を、そのまま他のケースに当てはめることは、必ずしも適切ではありません。

しかし、企業戦略の理解に必要となる視点や分析の切り口を学べたこと、ビジネスの仕組みを突き詰めて考える習慣が身に付いたことは、今後への大きな収穫であったと感じます。

因みに、最終成績の40%がClass Participation(クラス中の発言等)によって評価されるため、日本人はどちらかといえば苦戦しがちなコースであるかもしれません。

 

 

Business Analytics 

 

基本的なコンセプトは確率・統計理論を用いて、management, finance上の意思決定を数値化し、モデルを組んで最適化したり、様々な可能性をシミュレーションして意思決定できる形まで加工するというものです。与えられた株式のリターンとボラティリティからポートフォリオのリスク調整済みリターンを最大化する方法や、過去の売上・価格・需要変動から、どのタイミングでどの価格をつければ在庫リスクを最小化しつつ期待利益を最大化できるかなどを扱いました。ファイナンスの世界も含め、現実の世界では各要素を数値化するのが困難なケースが多いと思われますが、それを割り引いても非常に有益なクラスです。

 

 

Global Economic Environment I

 

いわゆるマクロ経済学のコースで、長期的な経済成長の条件、金融政策や財政政策の、実体経済や資本市場に対するインプリケーションなどを扱います。マクロ経済学のコースでありながら理論の学習にとどまらず、ケースワークも豊富で、様々なデータをもとにFed (米国中央銀行)誘導金利をどう設定するか、あるいは失業率統計の発表を受け債権・株式価格がどう変動するかなど、ケースの課題も興味深いものが多いです。なお、一番最後のクラスは、Wrap-upを兼ねたアベノミクスのケースでした。

 

 

Marketing

 

Customer lifetime valueや4P分析などの概念や、Conjoint分析などを扱います。統計学で学んだ回帰分析も活用し、定性的な概念の説明にとどまらず、定量的な分析も多く、学ぶことの多いクラスです。

 

 

Operations Management

 

オペレーションにおけるボトルネックをどのように発見・解決するかに焦点をあてたコースです。リトルの法則(待ち行列理論)や、処理能力、稼働率、待機時間、不確実性のもとでの需要予測などを統計的に分析する方法を学びます。

その後、ケースを用いて、ボトルネックとなっているプロセスを定量的に示し、利潤が最大となるようなライン構成を考察したうえで、最適な解決方法を議論しました。取り扱われるケースは、製造業からサービス業まで広範です。最適在庫についての件では、トヨタのジャスト・イン・タイムが取り上げられました。

この授業では、企業のオペレーションを比較的簡単な数式で分析・解明することに新鮮味を覚えました。上記のような分析ツールは、新たなビジネスモデルを評価する場合や、企業のビジネスモデルの改善を図る場合、より一般的には、事務フローの改善を試みる場合など、汎用性が高いと思われます。