Elective Class

CBSでは、ビジネススクール(MBA)単体でも300以上の選択科目があり、さらに他学部やEMBAの授業も含めると4000以上もの選択科目を受講することができます。各授業の詳細は Course Catalog で検索が可能ですが、代表的な選択科目について日本人受講生の経験談と共にご紹介します。

 <2024/5/10 アップデート>

  • Management

Organizational Change(教授:Todd Jick)

 

CBSで最も人気のある授業の1つ。組織変革を促すための理論と実践を学ぶ。時には外部から招致された経営陣として、時には政治家として、時には大企業内の一若手として、時には企業買収時の買収元のCEOとして、時にはターンアラウンドマネージャーとして、時には不祥事を起こした会社のCEOとして、どのような行動が企業に変革をもたらすかを、実際のプレスリリースやインタビュー、ケースを通じて学ぶ。企業買収後やリストラ時のCEOスピーチ原稿を書きクラスメート全員の前でプレゼンしたり、ターンアラウンド時のタスクフォース員として社内の誰から根回しするかを考えるシュミレーションゲームをしたりする等、実践に直通する内容。組織をいかに変えていくかという、ともするフワっとした理想論・空論になりがちな内容を、リアルに沿うように実際の現場のコンフリクトなどに触れながら習得していく。参加する学生のエンゲージメントが高く、ディスカッションから得られる学びは大きい。ちょうどイスラエルの問題があった時は、それをリアルケースと言って授業の題材に混ぜて、コロンビアの学長のイスラエル問題に対する対応が組織変革の観点でどうだったかという議論をし、非常にリアルタイムな話を授業の事例を元に議論したのが非常に刺激的だった。

 

Management Consulting Lab(教授:Timko)

 

元マッキンゼーのシニアパートナー、パートナー達の監督の元で、実際にチームでコンサルティングプロジェクトに従事する講義。プロジェクトの内容はクライアント企業によって様々であり、私の場合はGo-To-Market Strategy及びMarket Researchがテーマだった。授業自体は隔週で、それとは別に週次でのクライアントミーティングや、TAとのディスカッション、隔週でのシニアコーチとのミーティングと、多くのリソースを活用して、自身のコンサルティングスキルを強化できる機会が設けられている。単に目の前にある課題を追うだけでなく、自ら課題を見つけ、定義し、方針を決定することが求められる。

 

Top Management Process(教授:Lori Yue)

 

General ManagerやCEO視点でManagement/Strategyについて学ぶ授業。前半はmanager/CEOのダイナミクスにフォーカスを当て、後半はCEOの継承やボードメンバーのガバナンスなどを取り扱う。CEOがなぜ失敗するか、管理職としてどのようにキャリアを積むか、マネジメントの落とし穴(例えば優秀な部下が他の部下を連れて出ていった時)など、リアルに悩ましいケース、極限状態での意志決定手法など、トップマネジメントとしてどんな問題が起き対処していくかを学ぶことができる。教授はengagingで、授業内容がそもそもふわっとしがちなテーマのため、takeawayを意識して授業を展開してくれる。将来の管理職、CxOを目指してビジネススクールに入る人にとって、非常に受講意義の高い授業。

  • Leadership

The Leader's Voice: Communication Skills for Leading Organizations(教授:Brad Aspel、Natasha Velikoselskiy)

 

リーダーとして、Public Speakingのテクニック向上を目指す授業。メインは毎回のプレゼンテーションパートだが、レクチャーでスピーチ構成のコツやデリバリーの注意点なども学ぶ。英語に苦手意識がある人やパブリックスピーキングの経験が少ない人ほど、勇気をもって受講することをオススメしたい授業。自身のプレゼンテーションに対する他の学生や教授からの率直なフィードバックが参考になり、特に教授のフィードバックは非常に実践的で、個々人の内容を見て丁寧にフィードバックを与えてくれ、その場で練習もさせてもらえるため即時に身に着けることができる。比較的少人数のクラスで、アクティビティで他の学生と関わる機会が多いため、1年生の時に受講すると深く付き合える友人が増えるメリットも。ちなみに、Natasha Velikoselskiy教授は"Ikigai"というワードが好きで、日本人が一人だと生きがいの説明をさせられるイベントが確定で発生するので要注意。

 

Corporate Innovator A Guide Through the Labyrinth(教授:William Duggan)

 

企業の中でイノベーションを起こすために必要な、社内でのコミュニケーション、アイディア創出、アイディアをピッチする際のプレゼンテーションといった、Corporate Innovatorが有すべき思考や行動について、様々な角度から学ぶ授業。大企業におけるイノベーションや社内起業に関心がある人には是非受けてほしい授業。授業前半では“nemawashi""のやり方など具体的な内容を教わるが、後半になるにつれ、不安やストレスを取り除くための感情コントロールや自己実現の方法など、精神論な内容に発展していき、常に学生を力強くencourageする(そのため、毎回少しポジティブな気分で教室を後にできる)。毎週事前にイノベーターに関するケースを読み、授業でそのイノベーターや他の事例に関してディスカッションするが、その際に教授は繰り返し、「イノベーターはイノベーターになるべき特別な資質を持って生まれてきた訳ではないし、革新的と思われている過去のイノベーションも必ずしも全く新しいアイディアであった訳ではない。だからここにいる誰もがイノベーターになれる可能性がある」といったことを説く。 

  • Entrepreneruship

Foundations of VC(教授:Angela Lee)

 

VC投資の入口(ソーシング、DD、Valuation)について包括的に学ぶ授業。CBSにおけるVC分野の重鎮であるAngela Leeが講師。彼女が持つネットワークを活かして集まったFounderが5人、Pitch+QA sessionを行い、彼らの企業についてDDを行うグループワークがある。VCについて広く体系的に学ぶことができ、特にこれまでVC関連の経験が無い人が入門として受講するのに適した授業。

 

Launch Your Startup(教授:Jack McGourty)

 

startupアイディアを半期かけてexploreしながら、起業するための術を、体系立てて学ぶ、非常に実践的な授業。特に、何かしら既に自身のアイディアがある人、ベットしたい領域がある人にとっては、ビジネスアイディアを週次で磨くことができオススメ。一方で、ワークロードは非常に重たいため、それなりの覚悟をもって受講することを推奨。その分、非常に勉強になり、授業が終わった時に身についているものは多い。教授の資料は網羅的でタメになるが、教授自身は優しい人でフィードバックが全体的にマイルド。教授の授業から何かを教えられるというよりは、ひたすら自身をpush forwardすることに主眼が置かれているため、その点を理解して受講する必要あり。

  • Analytics

The Analytics Advantage(教授:Daniel Guettaなど5人の教授が交替で講義)

 

Business Analyticsに関心がある人はmustで取った方が良い授業。BA、BA2といった分析手法に重きを置いた講義に比べて、この授業は「実際に各業界でどのようにBusiness Analyticsが活用されているか」にフォーカスした内容になっている。5人の教授がオムニバス形式で、Finance、Healthcare、Transportation、e-commerce、Blockchainといった異なる業界・応用テーマを週ごとに扱うため、常に新鮮で、業界をまたいだインサイトが得られる。どの教授も非常に講義が分かり易く、且つ面白い。ハンズオンが多い授業だが、Coreの授業で学んだ内容さえ理解していれば、統計的・プログラミング的な前提知識はそれ以上必要ない。データ分析初学者が、そのビジネスポテンシャルについて理解するために適した授業と言える。

 

Real Estate Analytics(教授:Daniel Guetta、Stijn Van Nieuwerburgh)

 

不動産に特化したBusiness Analyticsの授業で、Engineering Schoolの学生も多く受講する。日本とは違い、米国は不動産に関わるデータ(住宅賃料や取引価格など)が自由に取れるため、それを使って様々な分析をしようという内容。教授はReal Estate Financeも担当している新進気鋭の教授で、多数の受賞経験もある方。CBSで受講できる他の不動産関連の授業で学ぶ内容を、データで裏付けられる点が非常に面白い。決定木や最急降下法など機械学習の基礎を知っている上で解説が進むため、BA系の授業を過去に受講していることは必須。課題は授業内で扱ったトピックの追加分析や応用が題材となり、要求された内容のコードを書いた上で見解を述べる必要があるため、Pythonのスキルも磨かれる。

  • Climate

Climate Finance(教授:Bruce Usher)

 

カーボンマーケットや風力発電など再エネ投資、グリーンボンドなどClimate x Financeの分野を網羅した内容。この分野に興味がある人にとって、業界の全体像を理解でき、他ではあまり学習できない内容になっているため、オススメの授業。特にBruce UsherはCBSのClimate系の重鎮で知識が非常に豊富であり、授業進行も上手い。授業名がClimate Financeなので、Finance heavyかと思っていたが、あまりFinance感は強くない。

 

Climate Change & Energy Transition(教授:Gernot Wagner)

 

エネルギーとポリシーにまつわる業界全体を俯瞰できる授業。Renewable(Solar、Wind、Nuclear)やCarbon creditについて基礎知識をつけたい人にオススメ。教授はアメリカ人のハーバード卒の方で、元々ポリシー系を専門にしているため、技術詳細やビジネス詳細よりも、ファイナンスやポリシー観点にフォーカスした内容となっている。業界自体(例えばCarbon credit)のMaturityがまだまだ低いため、Finance classのようなカチッとした知識が身につくというよりも、業界の変遷Dynamicsを捉えディスカッションし、思考を深めていく。Guest speakersはForestの専門家、Direct Air captureのスタートアップ創業者など、Climateの最前線にいる方が来てインサイトが得られる。

  • Finance

Advanced Corporate Finance(教授:John Moon)

 

John Moon教授はモルスタのMDで、その豊富な実務経験に裏打ちされた、クオリティの高い授業を提供してくれる。過去のM&A案件や金融市場に関するケーススタディを用いて、理論&実務両面からファイナンスを学習するコースとなっており、3時間/クラスのうち、前半は教授によるレクチャー、後半は事前課題のケーススタディを用いたディスカッションの構成。毎回ケース20~30ページ熟読→財務分析&モデリング→質問回答と、ワークロードは重めだが、それ以上に学びも多く、既に金融バックグラウンドがある人も十分に知識を習得できる。

 

Equity Analyst Toolkit(教授:Michael Kimpel)

 

Stock Pitchのプロセスをstep by stepで丁寧に教えてくれる授業。授業中に習ったことを実践するためのグループ課題が毎週課され、授業の最後にはStock Pitchが完成する様に構成されている。最後の授業は実際のStock Pitch(発表)。教授はIB、PE、IMで約20年のバックグラウンドがあり、講義内容が実践的。教授自身でもファイナンス教育&ファイナンス関連のキャリアサポートのためのウェブサービス(Wall Street Prep的なサービス)を提供しており、非常に教育熱心。例えば、各グループ課題のアウトプットに対して、翌週の授業で改善点やアドバイスを講義中&個別に教えてくれる。また、最後のPitch直前には全グループのために個別のZoomセッションの時間を設けてくれた。コメント自体は少々辛辣なこともあるが、生徒の成長を思ってのことであり、また節々で生徒のキャリアにおける成功を心から応援してくれているのが伝わってきた。総じて、今後IM業界で働きたいStock Pitch初心者に向く授業。

 

Financial Statement Analysis and Valuation(教授:Kalash Jain)

 

Accounting及びCorporate Financeをケーススタディを用いながら実務に即して学習する内容となっており、教授の素晴らしいファシリテーションもあって大変学びの多い授業。全ての授業はケーススタディをベースとし、教授によるファシリテーションの下、インタラクティブに展開される。教授はIBD→Chicago大学でMBA/Ph.Dを取得しており、若くてエネルギッシュ。学生によるコメントを積極的に促してくれるため、気軽に発言できる雰囲気があるのも特徴。課題は全8つで全てグループ課題であり、ケーススタディを読み、財務分析やValuationを行う。さらにFinal Projectは、教授から提示された企業についてレポート& Full Valuationを仕上げる必要があり、私の時はNVIDIAを扱った。ワークロードは相応にヘビーだが、教授のファシリテーション、講義内容、クラスの雰囲気の全てが非常に素晴らしいものだった。

  • Healthcare

Consulting Practicum: Healthcare Management, Design, and Strategy(教授:Carri Chan)

 

ヘルスケアをテーマとしたコンサルティングプロジェクトに参画する授業。参考のYoutube Videoあり。Interdisciplinaryで、MBA/EMBA/MPHの生徒が履修する。1チーム5, 6人で12週間、現実のコンサルティングと同じように課題解決に取り組み、最終クラスでそれぞれのプロジェクトのプレゼンを実施する。また、授業外でクライアントにもプレゼンを行う。初回のクラスで10社の企業がプレゼンを行い、その後、各自でどの企業のPJに参加したいかVoteするが、企業/PJは豪華で面白いものが多い(Black RockのAIを活用したヘルスケア領域の投資ストラテジー提案、Later stageのバイオテックファーマのIPO戦略、乳がん検査機器のマーケット拡大、ホスピス施設の拡大戦略など)。application basedで受講するため、学生の本気度は高い。授業はレクチャーなしで、グループワーク+ゲストスピーカーセッションの構成。グループワーク中は教授陣(Carri、Peter/BCG Managing Director、Taylor)が順に回ってきてPJについて何でも相談可能であり、非常に実践的なスキルを習得することができる。

 

The US Healthcare System(教授:Carri Chan)

 

Healthcare Programの看板教授であるCarri Chanによる、アメリカの医療制度について概論を学ぶ授業。アメリカの医療制度に興味がある人であれば、非常に体系立った内容となっていてタメになり、かつCarri Chanのレクチャーが丁寧で良い授業。ヘルスケア系の授業は同じような学生が多く取っている印象があるが、この授業は普段ヘルスケア系を取ってない人も一定数受講している。最初の4週間は毎週paperを書く必要があるためワークロードは軽くないが、課題を通して、授業スライド以上の理解を深めることができる。

  • Technology

Technology Strategy(教授:Dan Wang)

 

CBSで最も人気のある授業のうちの1つ。テクノロジーやプラットフォームを活用してどのように戦略的にビジネスにinnovationを起こしていくかを考えていく授業。内容ももちろん良いが、何と言っても教授のDan Wangによるファシリテーションが素晴らしい。Passionの塊のような教授で、学生一人一人のバックグラウンドや過去の発言をしっかり覚えており、ディスカッションの中でしばしば活用・引用する。LEGO、Rivian(autonomous vehicle)、Netflix、Mastercard、Generative AIなど、ケースはどれもinsightに富み、Danが頻繁に内容を更新していることもあって実用的性も高い内容に仕上がっている。基本的にケース&ディスカッションベースの構成だが、授業中に何度か(計6回くらい)グループワークもある。また、ChatGPTなど生成AIツールを積極的に活用し、その上で、より深い洞察を我々がどのように獲得していくかという実践経験も積むことができる。テクノロジーバックグランドでない人にとっても、間違いなくオススメできる授業。

 

Data Driven Dollars(教授:Yuval Ariav)

 

「データ」×「ビジネス」をテーマに、どのようなData Assetsを収集・蓄積することが大きなビジネス価値に繋がるか、データの特性に応じてどのようなmonetization strategyが向いているか、データドリブンビジネスを進める上での倫理的・社会的な課題は何か、といったデータドリブンなビジネスやプロダクトを創出する上で役に立つstrategyおよびフレームワークを学ぶことができる。Post-MBAとしてStrategicな立場を目指す人に向く内容。教授はイスラエル出身でFundboxというFintech企業のFounder。AI、Data Science、Deep Techの領域に強い起業家かつ投資家である。またゲストスピーカーも数名来るが、いずれも講義スライドをしっかり準備してくれ、内容も分かりやすく実践的。最終課題は、チームで特定の企業についてどのようにデータサイエンスをビジネスに活用しているか、講義で学んだフレームワークを用いて分析しプレゼンする。

 

Blockchain, Cryptocurrencies and Digital Tokens Demystified(教授:R.A. Farrokhnia)

 

ブロックチェーンや仮想通貨、Web3を支えているテクニカルトピックを中心に学びつつ、この業界を牽引するゲストスピーカー&教授から最新のビジネストレンドを吸収できる内容。例えば技術サイドでいうと、ブロックチェーンの根幹を支えるdecentralized networkおよびセキュリティはどのようにして保たれているのか、仮想通貨やデジタルトークンが既存の経済・金融市場においてどのような技術・原理で実現されているのかといった内容を学習する。ブロックチェーンの裏にある技術的な基礎について、テックのバックグラウンドがない学生にも、教授が非常に分かりやすく教えてくれる点が売り。またビジネスサイドの内容については、仮想通貨によってどのようなエコシステム(DeFi、Wallet、ゲームなど)が形成され、今後ビジネスとして発展していく可能性があるのかを皆でディスカッションし、将来のポテンシャルについて理解を深めていく。メイン課題の1つとして、チームで特定の仮想通貨・企業について分析してプレゼンテーションを行うワークがあり、授業で学んだフレームワークなどを用いながら理解を深め、その仮想通貨の技術的な独自性、際立った性能、市場価値の変動、今後のマーケットポテンシャルといった観点でプレゼンする。