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Value Investing Program 振返り

Class of 2024の守永です。今回はCBSの「Value Investing Program」についてご紹介します。

 

先ずは、バリュー投資とCBSの関係について簡単に説明させてください。

CBSの教授で、バリュー投資のバイブルであるSecurity Analysis (証券分析・1934)の著者Benjamin Grahamは、バリュー投資の父と言われています。そして、CBSの卒業生で、世界で最も有名な投資家であるWarren BuffettはBenjamin Grahamの授業を受講し、バリュー投資の考え方に感銘を受け、バリュー投資でキャリアを築くことを決めます。CBSはバリュー投資のハブとして、Warren Buffetに限らず多くの著名な投資家を輩出するとともに、バリュー投資の発展に貢献してきました。

 

その様な背景もあり、CBSではValue Investing Programというバリュー投資に興味のあるMBA生が集中的にバリュー投資について学ぶことができるプログラムが用意されており、毎年40人が選考を経て受講することができます。

Value Investing Programは7つの授業で構成されており、その内の4つはValue Investing Program受講生限定の授業になります。その他にも、一人一人にCBSのアルムナイで投資業界で活躍しているメンターが付いたり、採用活動においてもValue Investing Program限定の求人があったりと、様々なメリットがあります。詳しく知りたい方は以下のWebサイトを見て頂ければと思います。

 

https://business.columbia.edu/heilbrunn/curriculum-courses/valueinvestingprogram

 

定型的な説明が続きましたが、ここからは個人的なValue Investing Programの現時点での振り返りを書きたいと思います。

 

1. バリュー投資に関する学び

 

バリュー投資というと割安株への投資を想起する方もいますが、Warren BuffettやCBSの卒業生をはじめとするバリュー投資の支持者によりバリュー投資は進化を続けています。

Value Investing Programの最初の授業はModern Valueという、Blockweekに行われる授業(学期が始まる1週間前に、1週間の間毎日行われる授業)です。そこでは、その後の授業の礎として、バリュー投資の変遷や現代におけるバリュー投資の考え方を学びます。

現代のバリュー投資においては、企業の競争優位性や経営陣の質を見極めて、長期間において他社を超える成長やキャッシュフローの創出を実現できるなどの「良い企業」を分析し発見することが重要になります。Modern Valueやその後の授業においては、そのような企業のCase Studyを行い、「良い企業」に共通する特徴を授業内で議論したり、自分でそのような企業を見つけてレポートを書いたりすることで、「良い企業」の見極め方、分析方法を徹底的にトレーニングします。

「良い企業」の定義や分析方法は人によって異なりますが、「良い企業」とは何か、どのような特徴があるかを、ここまで考え・議論する機会は他を探しても無いと思います。投資に当たってももちろんですが、投資以外の経営などにおいても応用が利く内容で良い経験になりました。

 

2. 豪華な教授陣やゲストスピーカー

 

名物授業であるApplied Value Investingという、受講生40人がさらに4つのグループに分かれて10人に対して2人の教授が就く授業がFall termにあります。私のセッションでは、ファンドの創業者兼CIOの方と、バリュー投資界隈では著名なファンドで20年以上にわたり働いている方が担当として就いてくれました。このような豪華な2人が10人の学生の為だけに行う授業は他のCBSの授業、もしくは世界中のMBAの授業を探してもないのではないかと思います。

また、Value Investing with Legendsという春学期のB-termに行われる授業では、まさにバリュー投資界隈ではLegendと呼ばれるに相応しいファンドの創業者・CIOが週に2人、ゲストスピーカーとしてスピーチや質疑応答を行ってくれます。その他にも、Value Investing Programの受講者限定のイベントとしてBerkshire Hathawayの投資マネージャーであるTodd Combsを招待してくれました。

このような人々の話を直接聞ける機会は、業界で働いている人ですら羨むような環境だと思います。なお、これらの人の多くはPodcastやインタビューが公開されているので、ネットで話を読む・聞くことができますが、Value Investing Program限定、且つ録画されていないということで、過激な内容や裏話も教えてくれたりします。

 

3. 意識の高い友達との繋がり

 

 

Value Investing Programはワークロードが重いことでも有名です。そのようなプログラムにもかかわらず受講する人は、バリュー投資に対する強い興味を持ち、真面目で勤勉な人が多いように思います。そういった世界でもこの分野において最も意識が高い、もしくは優秀と思われる人たちと一緒に学ぶ機会自体が私にとっては刺激的で貴重な機会となりました。

 

また、前述の通り、Value Investing Programの受講者は40人で、その40人だけで受ける授業が4つあり、少人数、且つ同じ興味を持っているため仲良くなりやすいと感じます。また、Applied Value Investingを一緒に受ける10人は特に仲良くなります。私のセッションは18時~21時15分に行われていたため、授業が終わった後は毎回バーで飲み会が開かれ、さらに親交を深めることができました。右の写真は、ある1日の飲み会での写真です。

 

4. 就職活動におけるメリット

 

日本ではCBSのValue Investing Programを知っている人は、CBSの卒業生や、よほど投資に興味がある人でない限りいないと思います。一方で、海外での知名度は高く、実際に、私は去年の夏にロンドンの上場株ファンドでインターンをしたのですが、初日に全社向けにCBSの学生である旨を含めた簡単な自己紹介文を送ると、関係のない他のチームから態々私のデスクまで来て、「CBSのValue Investing Programには入っているのか?」、「CBSのValue Investing Programについて教えて欲しい!」、「xxxという人はCBSのValue Investing Programに携わっているみたいだけど会った?」と聞いてくれる人が複数人いて、海外におけるValue Investing Programの知名度や関心度の高さに驚きました。

 

また、主には上場株や債券投資の求人になりますが、Value Investing Program受講者限定の求人も定期的に回ってきます。また、Applied Value Investingの教授も彼らの友人からの依頼やネットワークの中から、一般には公開されていない求人情報を多く紹介してくれます。

 

もし、投資業界で海外就職を考えられている方がいればきっと大きなプラス要素になると思います。

 

5. 投資以外での学び

 

最後に、個人的な発見としては、バリュー投資は投資に限らず人生のあらゆる局面で役に立つとういことです。実際に、バリュー投資、特にWarren BuffetやCharlie Mungerの教えは多くの経営者に参考にされていたり、一般向けの自己啓発本においても多く引用されていたりして、人生全般において参考になる考え方が多く含まれています。

 

なので、必ずしも投資に興味が無くても、少しでもバリュー投資の考え方に共感し興味があれば、是非、応募を検討してみてはいかがでしょうか。

 

残念ながらCBSのValue Investing Programの20年の歴史の中で、私の知る限り、日本人の受講者は2~3人しかいないようです。個人的に、今後Value Investing Programを受講する日本人が増えることを願っておりますので、少しでも興味のある方は、いつでもオンライン/オフラインでお話しさせて頂きますので、「Contact Us」からお気軽にご連絡ください。