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PE Programについて

Class of 2024の児玉です。

今回は、CBSの中でいくつか存在するアカデミックなプログラムの一つであるPE Programhttps://business.columbia.edu/privateequity)について紹介します。

 

 

プログラムは基本的に一年間で、大きな流れは下記の通りです。参加したい学生は簡易的なLBOテスト、投資仮説を作成する課題を6月上旬までに提出し、9月以降にPEプログラムのオファリングに参加していく形になります。

PEプログラムからオファリングは大きく4つあり、①PEプログラム参加者向けの授業、⓶米国のPEを中心としたスピーカーを呼ぶイベント、③PE業界で働くCBS卒業生によるメンターシップ、④KKRによるLBOコンペです。以下では、①~④の概要を説明していきたいと思います。

 

①PEプログラム参加者向けの授業

年によって異なるようですが、Class of 2024向けには、PEプログラムを主導している教授であるDonna Hitscherichが秋学期にFoundations of Private Equityを開講し、春学期はMichael Ewens教授によるCurrent Topic in Private Equityを受講する形でした。2つの授業とも、扱うケース(過去の実際のディールを基に、大手アパレルチェーンのJ Crewやテキサス州の大手ファシリティマネジメント会社の統廃合)やコンテンツ(直近のPrivate Creditの状況)自体は面白いものが多く、かつ何人かのゲストスピーカー(KKR NYオフィスのパートナー等)から直接ディールの話を聞けるのは非常に面白かったのですが、教授2人の質は個人的にはイマイチでした。Donnaはバックグランドが弁護士であるため、どちらかというと説明がリーガル側面に寄る傾向があり、Michaelはファイナンス業界での実務経験がないため、あまり言葉に重みがなかった印象です。

 

⓶米国のPEを中心としたスピーカーを呼ぶイベント

こちらの中で一番メインとなるのが、毎週木曜日の午前7時半~9時にかけて、PE業界で働いているゲストを呼ぶPE Breakfastです。下記が2024年の春学期のゲストスピーカーの一覧で、これを見て分かるように、基本的には米国のミッド~スモールキャップファンドが中心ですが、CVCなどのラージキャップからのゲストも学期に1名程度は呼ぶイメージです。加えて、ここに記載のある、M2OはPEのファンドレイジングからExitまでのバリューチェーンをトータルで支援するアドバイザリーファームで、そういった日本にはない機能を持ったファームからのゲストスピーカーは個人的には学びが多かったです。Breakfastセッション以外にも学期に1~2回、夕方にスピーカーやゲストを呼んでディナーやネットワーキングを行うイベントも実施されますが、メインは上述の通りBreakfastシリーズです。

PE業界で働くCBS卒業生によるメンターシップ

細かい条件は上述のPEプログラムのURLを確認してもらえばと思いますが、①、⓶への参加などを踏まえて、一定の条件をクリアした学生は本メンターシップを受けられる権利が得られます。私は米国内のPE就職は考えていなかった為、こちらには参加していないですが、周りの学生で米国のPEに就職したい人は何人かメンターシップを受けていました。下記がメンターとなり得るCBSアルムナイのリストで、メインは米国のミッド~スモールキャップですが、中にはカーライルやベインキャピタルのラージキャップ、ブルックフィールドなどの不動産ファンドのメンターも存在し、各学生の志向とメンター側のアベイラビリティによってマッチングされているようです。

④KKRによるLBOコンペ

KKRがCBSの学生限定で実施しているLBOコンペティションで、こちらは必ずしもPEプログラム参加者に限られていませんが、参加者の大半はPEプログラムに属していました。4~5名の学生が自分たちでチームを構成し、一定規模の企業価値($1Bn以上)の米国で上場している企業をターゲットに、投資仮説を策定するコンペです。例年20~30チーム程度が参加し、4~5チームがファイナリストとして、KKRのNYオフィスで作成した投資仮説をKKRチームにプレゼンする流れとなっており、優勝チームはKKRの創業者でCBSアルムナイであるHenry Kravis(CBSの校舎の名前でもあるKravis)と朝食ができる特典がついています。私も他の日本人学生2名、韓国人1名、米国人1名と参加し、米国企業のスクリーニングや事業成長性を見極める作業は良い経験になりました。

 

以上、ざっとPEプログラムの概要と私なりに感じたことを纏めてきましたが、別のページで紹介されている「Value Investing Program」と比較するとプログラム自体が新しく、学生側に求められるコミットメントも緩やかで、各人の志向に合わせてコンテンツをチョイス出来るのは良い点だと思います。一方で、まだまだ発展途上のプログラムであることから質については改善余地が大きいと感じることが多々あり(特に授業)、また他のバイサイドの職種(ヘッジファンド等)と比べると、PEは非常にローカルビジネスであることから米国市場の学びが必ずしも他国に当てはまらないことなども仕方ない点かなと感じます。とはいえ、米国の資本市場及びPE業界は他国の数年先を行っていることは間違いなく、PEプログラムを通じて得た知見は総じて意味のあるものが多いというのが私なりの感想ですし、学生間の横のつながりも出来る為、PE業界に興味ある人にはおすすめのプログラムです。